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銀河系オーガズム


いつか黒い回廊をいった
頼りない旅路のことを
乾いた岩盤に抉る火星人が思い出す時
膨張する宇宙の残丘で
丸められたティッシュの中に萎れる
星の光りを僕は見ている

ある日、見知らぬ天窓の隙間に
無修正の広がりがあることを
あなたが見つけたのと同じく
雲ひとつ取り払って露出するこの惑星が
知らない星の水面で漂う姿を
覆われた暗潮に潜ませた月の裏側に辿ったのは
僕の静かな陰部の鼓動が地下のマントルに
共鳴にも似た罪悪感を覚えた日のこと

アルタイルから突起した視線の先で
ベガの吐息が響き渡り
睨みをきかせた動物曲芸の調教師のような
鋭い滴りが銀河を蚕食する時
呼応するデネブの先端にきらめいた光沢が
寸秒にも満たない絶頂へ
駆けめぐる1800光年の回路を
道化じみた放物線に描いて
名もない正座を孤独な天文学者が発見する

それはこの掌の臭いが記憶する
白い鯨の尾に打たれた清らかな痛みが
ゆくりえない快感によって放たれたのと同じように
僕はいつしか黒い回廊をいきながら
全裸で見上げた星のことを思い出す

地球の誕生からだいぶ経つが
まだ僕(僕ら)は宇宙人にはなれない
この惑星は放置されたまま
羞恥心だけを覗かせている
指先の中を消えていった
アステリズムの寂寥が青暗色の包皮に覆われ
朝にすっぽりと包み込まれていく時
もうここが宇宙の内側にあったことなど
誰も覚えてはいない

僕はジャージを擦らせ奔走する
新聞配達の足音に耳を澄ませ
鳴りだした電車の警笛に耳を澄ませ
勘違いな女子アナウンサーが喋る
テレビのニュース番組に耳を澄ませ
今日もこの惑星は
物足らない陰萎に悩まされている、と
宇宙人のように言ってみせる

そして、いつか黒い回廊をいった
頼りない旅路のことを
乾いた岩盤に抉る火星人が思い出す時
僕は丸められたティッシュの束を
ごみ箱へと放り投げた



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  • #
  • 2012.12.31(Mon)
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プロフィール

Ides

Author:Ides
   
病の中で歪んだ季節を

刻むべき場所が僕には必要でした。

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