愛しき曇り空
何人の人が孤独に
今日の曇り空を見つめているだろう。
何人の人の孤独を
今日の曇り空は映し出しているのだろう。
表現が他者との共有にあるのなら
伝わらない想いの一つを抱いて
全ての人が
今日の曇り空を見つめていることになる。
表現は孤独なものだ、と。
人間同士が共有し合える感情は、限りなく少ない。
この世界から、言葉が消えないように
この世界から、争いが消えないように
この世界から、詩が消えないように。
百年先も人は表現者で在り続ける。
永遠の孤独を胸に秘めて。
そして人間同士が共鳴し、共感し合える感情は
触れ合うことの出来ない
「孤独」という感情だけなのかもしれない。
だから僕は
虚ろげに見える今日の曇り空を
穏やかな表情で眺めている。