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水鳥


僕は静かに死のうと思うのです

ふと、水鳥が知らぬ間に羽ばたいて
どこかへと去っていく刹那
鮮やかな青空の鏡映を覚えた水面に
一瞬だけの小さな波紋を残したように

人の心に留まる「僕という他者」を
僕は本当に丁寧に、かつ、静かに
まるで、あと少しで溶けてしまう
か細いロウソクの火を扱うように
葬らなければならないのです

人は人を想い、人は人を忘れ
時間や距離、環境の変化の中で
その姿も、その重みも
変わっていきますが
僕が静かに死ぬためには
僕自身もまた、僕の中にいる他者を
葬らなければなりません
この残された愛という何かで
(それはすでに錆びたもので)
想う人々を
拙い友たちを
この血のつながりを
僕は葬らなければなりません

確かに、自分のことを
想ってくれる人など
数えるほどしか居ないでしょうし
何よりこんな自分が
「誰かの心の他者」となっていることなど
あまりにリアリティのない話ではありますが
しかし、まったく居ないとも言い切れない

いえ、事実、悲しむ人がいることを知っています

いわば確信犯でもあります
だからこそ、僕はその悲しみを
僕という他者の重みを下げることによって
少なくしようと努めているのです

僕は静かに死のうと思うんです
僕は静かに死のうと思うんです

それがせめて
これまで他者の心を濁すことしか出来なかった
汚い水鳥ができる
最後の償いのような気がしているのです


羽ばたきます
僕はいつかの空で
太陽の目を盗み
風の去った瞬間
水面に一瞬だけの波紋を残して
羽ばたきます
僕はいつかの空で

そしておそらく
その青空は美しいままです





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Author:Ides
   
病の中で歪んだ季節を

刻むべき場所が僕には必要でした。

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