夏の終わり
弱まる夏の気配
夜は密かに、新たな季節へ歩き出す。
世界の何が傷ついていても
小さな痛みなど 気付きようもないほど
絶望的に広いこの星は
空虚な想いで満ちている。
生きているはずの心は
停止したように空っぽのままで
死んでいるはずの過去は
永遠と何かを問い続けている。
心の外側と内側と
まるで違う時間軸の中を
あえて傍観しているのは誰だろうか。
別れを告げるように
夏の星が 小さく鳴いている。
季節の循環の中で
目に止まる情景は いつも切ない。
生の意味も、死の意味も
知ることはないけれど
不完全なままで造られた歳月であれ
心の全ては そこに在るのだろう。