追憶


灯りのない真夜中を横切るのは
いつかの遠い残像。

傷ついた夜空に眠る沈黙の日々が
愛の色に染まる時
痛みや矛盾に満ちた夜も
間違いではなかった、と思えるのだろうか。

振り返る情景に
心を滲ませるいくつかの断片が
切なく、暗がりへと浮かび上がる。

人が知ることの出来る悦びや幸せが
世界の全てを埋め尽くす時が在るとすれば
それは、この世に生まれ落ちた
一瞬の時だけだったのかもしれない。

淡い陽炎のような遠い日々を
病んだ瞳は 静かに傍観している。

季節の風もなければ
誰の足音もしない
もうすぐ終える真夜中の時間で
月は安らかに何を問うのか。

追憶は柔らかな苦悩を
心に残している。

傷ついた夜空の向こう側で
冷静な光りが目を覚ます。

僕はそれが愛の色だとは知らない。

けれど、悲しみでもない色で
世界を染めている。







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