僕は悲しみを語りすぎた
僕は悲しみを語りすぎた。
悲しみ以外の感情を
言語化することは難しい。
詩を書く全ての人間を
詩人と呼ぶのなら
僕はいつから
愛を詠わない詩人になったのだろうか。
僕は悲しみを語りすぎた。
この瞳に見える虚ろげな存在の全てが
痛みと共に、詩と共に、
わすかな日常の断片ですら
許すことの出来ない心。
安息をなくした眠りは病の中
朝の光を探している。
僕は悲しみを語りすぎた。
手にすくう事など出来ない涙が
引力に誘われるまま
枯れた地面に零れ落ちる。
生きる度に、生きるほどに
作り方を忘れた笑顔は
切り取られた記憶の中で
寂しく微笑むだけで
僕は悲しみを語りすぎた。
夢のある言葉も
愛のある言葉も
世界には沢山の綺麗な言葉が
在ったけれど
成長していく中で
言葉は汚れて
僕は悲しみを語りすぎた。
悲しみしか語らなくなった。
夢は語れなくなった。
愛も語れなくなった。
今日も語った悲しみを
宛もなく表現していた。
僕は悲しみを語りすぎた。

