眠りの中で
世界は朝になっていた。
僕はきっと、眠り続けていた。
ベランダの向こう側に広がる明るさに
嫌な予感を隠せないまま
耳鳴りのような街の雑音が響いている。
世界に朝が訪れたということを
小さな昆虫さえも気付くだろう。
目覚めを知らない春の唄を
花は枯れないで待っている。
僕はけれど、眠り続けていた。
存在を無視することの出来ない太陽が
そのあまりの明るさと眩しさを
今日も全開に輝かせている。
季節に閉じこめられた思い出を
雲の流れに儚く描いて
泣き終わるまで
少し待ってておくれ。
世界は朝になっていた。
僕はきっと、眠り続けていた。
冬はもう、遠い日々のどこかに・・
地球がまわることを止めない限り
おそらく明日は訪れる。
消えることのない記憶の残像が
心に留まっては、眠りの中。
世界は朝になっていた。
僕はきっと、眠り続けていた。

