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不適合者


表現は恐ろしい
大声で笑うことを
大声で泣くことを
感情をむき出して怒ることを
食べることを、営むことを
人に愛を伝えることを

表現は恐ろしい
僕はよくそれらを表になんて出せません
表現は恐ろしい
どうか誰も見ないでほしい
恥ずかしくて仕方ない
詩なんてとてもじゃないけれど
詠えませんよ



命にかえて
僕は僕を秘めようと思います
命にかえて
僕は僕を秘めなければならないのです

世界のどの領域であろうと
僕が存在できたことなど
ありはしないことを
あなたの心にさえ留まることの叶わなかった
僕は不適合者でした
この世界の僕は不適合者でした

僕は僕を肯定する術がありません
愚かしくふざけたこの「僕」が
有り触れたいわゆる人間であったことなど
今となってはどうでもいいことなのです

生きるにはあまりにも弱すぎました





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薄闇の窓


世界へと繋がる唯一の窓には
夕闇の患いを描いて
青空の賑わいを奪い去る悲しいチャイムが
昨日と同じ色の光に染められる

壁に投影される形状だけの街が
切なく傾いた部屋の隅で
完結した僕の詩は
与えられたブルーベリーガムによって
もたらされた最後の幸福さえも
記されることはない

(僕たちは誰も知らない悲しみを知った
 僕たちは誰も知らない夜を知るだろう
 僕たちは誰も知らない患いと闘い
 僕たちは誰にも知られることなく
 死んでいった)

もうずいぶんと長い時を
完結した言葉で刻んできた
太陽の慈しみさえ拒んだ日々を
午後の干からびた誤りの死体と
空へと駆け上がる追憶の綻び

すべては孤独だった
死にいたるまで
この世のすべては孤独だった

まだ去ることのない薄闇の炎が
いつの日も同じように
窓の外で据えている






夏の落日


夏の腐った色をしている
落日は見えない星の気配をさすらう

小さな旅を終えた空の墓場は
時間の補正とその哀れみを盗み取り
沈むことのない永遠を完成させた

なぜか、と問いたい気持ちもあるだろう
けして美しいだけの日々が
そこにありはしない

儚いものが多すぎた
陽の光も遮らず
朝に訪れた嘘が
悲しかった日々

とある惨めな季節を生きた僕は
鳥の羽ばたく一瞬にも劣る
長い昨日から辿り着いたこの場所で
愚かしく後ろで這いつくばっている
影を見つめている

必死に地面にしがみ付き
やがてお前は夜を越えるだろう
月の寂しさを超えて
誰かの見る夢を越えるだろう

季節の風を越えて
悲しみを越えて
父を越えて、母を越えて
愛するものたちを越えて

そしてまた落日は
見えない星の気配をさすらう
夏の腐った色をして

もしも命に色があるのなら
きっとそんな色だろう






プロフィール

Ides

Author:Ides
   
病の中で歪んだ季節を

刻むべき場所が僕には必要でした。

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