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不誠実な夜


僕たちは悲しい時代に生まれました

不誠実な夜
僕たちは悲しい時代に生まれました

たった一夜の快楽のために
僕たちは悲しい時代に生まれました

どうか美化しないで
汚れたベッドをそのままにしないで
もう進化は終えたのだから
どうか安らかに眠らせて

やはり悲しみは
世界にとってマイノリティなのです
有り触れていたようで
それはやはりマイノリティなのです

僕たちは悲しい時代に生まれました

不誠実な夜
僕たちは悲しい時代に生まれました

繋がり合うことの許された
命と命がまた罪を重ねている
完璧な幸福の犠牲は
今、静かな月夜に揺れている

お父さん、お母さん
ごめんなさい

僕たちは悲しい時代に生まれました

汚れたベッドの中を
僕たちは悲しい時代に生まれました

不誠実なその夜
僕たちは悲しい時代に生まれました






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抜け殻


風はどこから来るのか
風が生まれる場所はどこだろうか
世界中を巡る旅路
そのはじまりはどこだろうか
風に聞いても答えてはくれない
風はただ
見てきたもの、聞いてきたもの
その世界の窮屈な重さを
僕に伝えるだけだ

午後のベランダに
蝉の抜け殻が転がっている
揺らめくカーテンに髪の毛を誘われながら
僕は静かに深呼吸し
世界を感じる

風が伝える世界の窮屈な重さも
この部屋の窮屈な重さも
僕の窮屈な重さも
一つになる

一つの重さとなって
それはさすらいの木の葉のように
また風と共に舞っていく

(空っぽになった)
(空っぽになった)

午後のベランダに
蝉の抜け殻が転がっている
僕はひとり外へ出た
カーテンが揺れている
あの部屋には誰も居ない

夏の蝉が煩わしく鳴いている





「死にたい」という言葉


いつからだろうか
上手く「死にたい」と言えない

「死にたい」と言ってしまうと
それで終わってしまうのが物足りず
けれどそれ以外の言葉などもまた無く
やはり「死にたい」と言おうかと考えていると
やっぱり「死にたい」以上の言葉がないものかと
模索してしまい
だが到底そんな言葉などなく
いずれにしても最後は「死にたい」に戻るわけだが
何故だか、上手く「死にたい」と言い切れず
結局は「死にたい」と言いそびれて
今日も僕は「死にたい」と言わなかった

「死にたい」と言えた日々が
今では幸福だったとさえ思えて
いよいよ自分は「死にたい」すらも
言えない人間になってしまった、と
無性に悲しくなってくるが
けれど涙は出てこなくて
泣くことも出来ず
酒も飽きて、薬もやめて
何もすることがなく
倦ねた時間が残り火のように
過ぎていくばかりで
空には暮れ焼けた赤い雲が
世界の終わりのように据えていて
微かな風に木々の葉が応えている
僕はふとそんな時に
悟ってしまったのだ

すでに自分は死んでいるのだと
死んでいる人間は
「死にたい」と言う必要も
言う権利もない
ただ緩やかに腐っていく細胞のうめきと
アスファルトの上に滴り落ちては蒸発する
水滴のような一瞬の感情と
残り火のような時に揺られ
僕はその静かな殺人によって
葬られるのを待ち続けるのだろう

(僕にはもう、「死にたい」という権利すらなくなった)
(僕にはもう、「死にたい」という権利すらなくなった)




死に損ないの一日


土曜日の風が吹く
無口な朝がソファーの傍らに座っている

尽きてしまった星の死骸を
踏みつぶしながらゆく世界の足跡が
惨たらしい美しさを確かな片鱗に魅せながら
淡くぼやけたガラス戸に映っているが
その端で小さく揺れる死に損ないの月だけは
一切の光景の中で矛盾となってそこにはある

悲しいものを見てしまった僕は
涙を流すこともなく
そして同情もせず
ただそれが死ぬのを見守っている

一つの幕が終わろうとする劇場の観客のように
ただその行方を見守っている

そうして過ぎてゆく一日
死に損ないの一日

土曜日の風が吹く
無口な朝はずっと
ソファーの傍らに座っている





プロフィール

Ides

Author:Ides
   
病の中で歪んだ季節を

刻むべき場所が僕には必要でした。

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