崩壊と退廃


涙は崩壊していく。

悲しみの形を探したとき
手にすくえない砂のような脆さで
それらは指先から消えていった。

逃避の中にあったはずの歳月は
唐突に夜の真ん中へ放り落とされる。

世界の1秒の中でさえも
途切れることはない悲しみが
奪ってゆく眠りを
僕は追いかけるように
今日も夜を歩いて行くんだ、と

無造作な涙が
無造作で気付かなくなりそうな涙が
星よりも小さく落ちていった。

涙は崩壊していく。

いろいろなものが崩壊して
心が崩壊して
最後に思考までもが崩壊する時まで
そんな涙を
いつまで数えていられるだろうか。




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夜にたとえば


それは、鳥のように
どこかへ飛んでいきたい夜だった。

それは、枯葉のように
ゆらゆらと舞い墜ちていくだけの夜だった。

それは、深海魚のように
光りのない世界を泳いでいたい夜だった。

それは、タバコの煙のように
宛もなく宙を舞い、消えたい夜だった。

それは、時計の秒針のように
痛みを数え続けた夜だった。

それは、何度も死にたいと
呟いた夜だった。

それは、鳥のように
どこかへ飛んでいきたい夜だった。




「いつか」


「いつか」っていう未来があって
それはずっと遠くに在って
遠くにあったからこそ
夢や希望や未知なる世界を描けたけれど
大人になって
遠くに在ったはずの「いつか」は
すぐ目の前まで来ていて
けれど、見渡す世界は
描いていたものに
近づいているどころか
あまりにも懸け離れていて
「いつか」っていう未来が在って
それはずっと遠くに在って
彼はそれを美化しすぎて
彼は現実から逃避し続けて
けれど、希望が詰まった「いつか」って場所は
ここには存在しないことに気が付いて
その「いつか」って場所を捨てるために
新たな「いつか」を描く必要があって
それは天国って呼ばれるもので
結局、彼は今という時間軸から逃れるために
愚かで悲しく美しい
「いつか」という世界を
ずっと夢見続けてきたんだ。




無題


詩を書く行為と

自慰行為はよく似ている。





プロフィール

Ides

Author:Ides
   
病の中で歪んだ季節を

刻むべき場所が僕には必要でした。

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